一九一七年、レーニンの指導のもとに、ロシア革命がおこり、世界ではじめて社会主義国家、ソビエト連邦が成立しました。ソ連は一五の共和国かみ構成され、世界の陸地面積の六分の一を占め、人口三億人という巨大国家でした。ソ連は、一九九一年崩壊することになるわけですが、それまで、七〇年間にわたって、世界の社会主義国の上に君臨していました。
ロシアで最初の社会主義国家か成立したとき、世界の心ある人々は、長い間の、社会主義の夢が実現したことをよろこび、資本主義に代わって、新しい人間的な社会に向かって、人類の歩みがはじまったように思ったのです。ところが、ソ連社会主義七〇年の歴史は、このような期待が空しい幻想にすぎなかったことを示し、社会主義に対する人々の信頼を無残に打ちこわしてしまいました。レオ十三世が「レールムーノヴァルム」で警告された通りになってしまったのです。
ソ連社会主義のもとでは、労働者階級の立場を代表する共産党がすべての国家権力を掌握し、人々の生活を完全に管理していました。共産党が指導して国全体についての経済計画がたてられ、社会主義建設のために、すべての人民が奉仕するということになっていました。しかし、市民の基本的権利は無視され、個人め自由は完全に剥奪され、人間的尊厳は跡形もなく失われてしまいました。とくに、狂気におちいった独裁者スターリンの支配下、ソ連全土が巨大な収容所と化し、何百万人という無実の人々が処刑されたのです。
ソ連共産党の支配は、ソ連だけでなく、ポーランド、東ドイツ、チェコスロヴァキア、ルーマニアなどの東欧の社会主義諸国におよびました。これらの国々はいずれも、軍事、経済、政治、すべての面で、ソ連の支配下におかれていました。第二次世界大戦後四〇年間にわたって、ソ連の苛酷な支配のもとで、人間的尊厳は失われ、経済は麻庫し、社会は寸断され、自然は徹底的に破壊されてしまいました。
ソ連社会主義の恐怖について、私自身実際に経験する機会を何度かもったことがありますか、つぎのエピソードは私にとって忘れることができません。一九九二年の一月から二月にかけて、私は、ヨーロッパの国々を回って、地球温暖化に対して、各国がどのような政策をとっているのかを調査しました。
2014年9月1日月曜日
高齢者の貯蓄熱の本当の理由
日本の高齢者は貯金に励むのか。アンケート調査などでは、「老後が不安だから」という答えが圧倒的に多い。だが、平均的に見て日本人ほど老後不安の少ない国民はいない。老後の年金はどこよりも多いし、健康保険はあまねく普及している。持ち家の比率も高いし、子供の教育もしっかりとやっている。
それなのに、七十歳以上の人々がなお貯金を増やしているのは、「老後不安」だけでは説明できない。百七歳と百八歳でお亡くなりになった双子の姉妹、きんさんぎんさんも、死の直前まで「テレビ出演料は老後に備えて貯金します」といい続けていた。「老後不安」は、一種の流行(社会主観)なのだ。
では、高齢者の貯蓄熱の本当の理由は何か。恐らくその最大の原因は、高齢者がお金を出して得られる楽しみと誇りが少ないことだろう。規格大量生産型の近代工業社会を確立するに当たって、日本は三つの特色を創り上げたことは前述した。①官僚主導=業界協調の産業経済体制、②終身雇用、集団主義の日本式経営、そして③職場単属の職縁社会である。日本の高齢者のほとんどは、こうした世の中にどっぷりと浸ってその生涯を送ってきた。一つの職場に終身帰属し、職場と職業の縁で結ばれた人間関係に埋没し、情報も評判も楽しみもそのなかで得た。
このため、定年を迎えて退職してみると、人間関係は途絶え、情報も楽しみもなくなってしまう。ゴルフに興じようにも誘う者も誘ってくれる者もいない。カラオケに行くにも酒を飲むにも、ともにする相手がいない。そのうえ、この国の娯楽観光業も職縁社会に適応して、職場職業で繋がる社用客用にできている。
たとえば、退職後の夫妻が温泉旅館に行ったとしよう。玄関には「御夫妻様歓迎」とあり、しかるべき部屋に通される。だが、夕食に出て来る料理は、下の宴会場と同じ物、大抵は黒ずんだ鮪の刺身と固い海老が出て来る。職縁団体客がワイワイ騒ぎながら時間をかけて喰うのに適した量と見場のある料理だ。
それなのに、七十歳以上の人々がなお貯金を増やしているのは、「老後不安」だけでは説明できない。百七歳と百八歳でお亡くなりになった双子の姉妹、きんさんぎんさんも、死の直前まで「テレビ出演料は老後に備えて貯金します」といい続けていた。「老後不安」は、一種の流行(社会主観)なのだ。
では、高齢者の貯蓄熱の本当の理由は何か。恐らくその最大の原因は、高齢者がお金を出して得られる楽しみと誇りが少ないことだろう。規格大量生産型の近代工業社会を確立するに当たって、日本は三つの特色を創り上げたことは前述した。①官僚主導=業界協調の産業経済体制、②終身雇用、集団主義の日本式経営、そして③職場単属の職縁社会である。日本の高齢者のほとんどは、こうした世の中にどっぷりと浸ってその生涯を送ってきた。一つの職場に終身帰属し、職場と職業の縁で結ばれた人間関係に埋没し、情報も評判も楽しみもそのなかで得た。
このため、定年を迎えて退職してみると、人間関係は途絶え、情報も楽しみもなくなってしまう。ゴルフに興じようにも誘う者も誘ってくれる者もいない。カラオケに行くにも酒を飲むにも、ともにする相手がいない。そのうえ、この国の娯楽観光業も職縁社会に適応して、職場職業で繋がる社用客用にできている。
たとえば、退職後の夫妻が温泉旅館に行ったとしよう。玄関には「御夫妻様歓迎」とあり、しかるべき部屋に通される。だが、夕食に出て来る料理は、下の宴会場と同じ物、大抵は黒ずんだ鮪の刺身と固い海老が出て来る。職縁団体客がワイワイ騒ぎながら時間をかけて喰うのに適した量と見場のある料理だ。
2014年8月4日月曜日
ジェファソンの民主協会はすぐに大きな評判となった
ジェファソンの民主協会はすぐに大きな評判となった。有産階級だけではなく、ごく普通の人間も民主協会の集会には顔を出すことができたから、そこではさまざまな意見が噴出した。なかでも、アメリカの政権の悪口については意見がたえることがなかった。
工業化政策が批判されたり、君主制ににかよった政権のあり方にも多くの批判的意見が出された。またアメリカの独立革命の理念に刺激を受けて成就したフランス革命の物語は、ずいぷんと美化されて語られたりもした。
このような不満を抱いて集まる人間の集会のことを、ほかに適当な言葉がなかったのであろう、ジェファソンはパーティー(召晋)と呼んだ。家庭や宴会場で開くパーティーと同じ意味合いである。これがポリティカル≒パーティー(政党)の始まりである。
当時は、ヨーロッパや日本ではまだ封建主義体制が強力な時代である。アメリカでは、独立革命を起こして旧宗主国から離反したばかりであったが、紳士や淑女の間ではまだ穏健な社会の習慣が残っていた。政党政治などという考え方はまったくなかった時代であったから、人間たちが集まって、政府の現状に文句をつけるということ自体が考えられないことであった。
大統領を退いたばかりのジョージ・ワシントンは、ジェファソンの行っていることにたいして次のように不満を漏らした。
一部の人間が集まって騒ぎを引き起こしているが、彼らは配慮に欠けた人たちである。いったい自分たちの行っていることが、いかなる結果を引き起こすかということについて考えてみたことはあるのだろうか。また騒乱を起こす者だちというのは、いつの世でも世間のおおかたの支持は得られないものだということを、はたして彼らは知っているのだろうか。彼らの騒ぎは、けっきょくは社会から無視されてしまうものなのだ。
工業化政策が批判されたり、君主制ににかよった政権のあり方にも多くの批判的意見が出された。またアメリカの独立革命の理念に刺激を受けて成就したフランス革命の物語は、ずいぷんと美化されて語られたりもした。
このような不満を抱いて集まる人間の集会のことを、ほかに適当な言葉がなかったのであろう、ジェファソンはパーティー(召晋)と呼んだ。家庭や宴会場で開くパーティーと同じ意味合いである。これがポリティカル≒パーティー(政党)の始まりである。
当時は、ヨーロッパや日本ではまだ封建主義体制が強力な時代である。アメリカでは、独立革命を起こして旧宗主国から離反したばかりであったが、紳士や淑女の間ではまだ穏健な社会の習慣が残っていた。政党政治などという考え方はまったくなかった時代であったから、人間たちが集まって、政府の現状に文句をつけるということ自体が考えられないことであった。
大統領を退いたばかりのジョージ・ワシントンは、ジェファソンの行っていることにたいして次のように不満を漏らした。
一部の人間が集まって騒ぎを引き起こしているが、彼らは配慮に欠けた人たちである。いったい自分たちの行っていることが、いかなる結果を引き起こすかということについて考えてみたことはあるのだろうか。また騒乱を起こす者だちというのは、いつの世でも世間のおおかたの支持は得られないものだということを、はたして彼らは知っているのだろうか。彼らの騒ぎは、けっきょくは社会から無視されてしまうものなのだ。
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