2014年11月1日土曜日

北朝鮮の核・ミサイル開発疑惑

朝鮮半島では北朝鮮の核・ミサイル開発疑惑がなお完全に払拭できないものの、南北朝鮮はすでに非核化について合意。二〇〇〇年六月に平壌で分断後初めての南北首脳会談が開かれることが決まり、朝鮮半島の安定化に少なからぬ寄与が期待される段階を迎えた。

日米韓の協力体制によって、北朝鮮は軽水炉を提供する朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)が動き出して、事実上の多国間の地域安保対話も始まっている。

北朝鮮はさらに日米両国との関係改善によって、新しい経済関係構築のきっかけを掴もうとしており、日朝間では九二年十一月以来途絶えていた国交正常化交渉の本会談(大使級)が、二〇〇〇年四月から七年二ヵ月ぶりに平壌で再開された。

また、米朝高官協議も順調に回を重ねており、二〇〇〇年中には相互に連絡事務所を設置する交渉がまとまりそうで、核疑惑をめぐって米国による対北朝鮮制裁が取りざたされた九四年当時のとげとげしい雰囲気は、もはやない。

一方、朝鮮半島問題と並ぶ東アジアのもう一つの大きな紛争要因である中台関係は、二〇〇〇年三月の台湾総統選を牽制するため、中国が「台湾白書」を発表して、その中で台湾統一のための武力行使の条件に、「無期限の交渉拒否」を追加したため、一時的に緊張が高まった。

しかし、九六年三月の総統選の前後に、台湾を威嚇する狙いで中国が行ったミサイル射撃の軍事演習に比べれば、緊迫感はそれはどなかった。中台間にはすでに九三年から、直接対話の道が開かれており、両岸の貿易、経済交流も拡大基調が続いていて、今後さらに直接対話を積み重ねていけば、中台関係は政治的な緊張緩和に向かう可能性を否定できない。

もちろん、楽観要因ばかりではない。北朝鮮は対米関係の改善に自らの体制の生き残りをかけているが、米国の巨大な軍事力を相変わらず敵視、米国が一つ対応を誤れば冒険主義に走らないとも限らない。

また、中国は米国との「戦略的パートナーシップ」の確立による協調を求めながらも、冷戦に一人勝ちして「世界一極支配体制」を固めつつある米国の覇権主義に警戒感を募らせ、軍事力の強化に余念がない。

しかし、全体として見れば、アジア太平洋地域の多国間協調の流れを押しとどめることはできまい。経済面では東アジアにアジア太平洋経済協力会議(APEC)、東南アジアには東南アジア諸国連合(ASEAN)、ASEAN自由貿易地域(AFTA)などの多国間協力のネットワークが築かれ、発展を続けている。