2015年8月1日土曜日

一村一品運動の究極の目標

塾是は「継続、実践、啓発」私が塾生に常に言っている言葉が二つある。ひとつは「継続は力である」ということ。実践することはたやすい。しかし、失敗しても挫けずに、一度やり始めたらあくまでも継続する。これは難しい。不僥不屈は力の源泉である。

この言葉は、私の父が戦前に自分で設立した私立夜間学校の校訓でもあった。高等師範学校を卒業して大分に戻った父は、昼間働き夜勉強する子弟のための三年制の学校を創立した。入学時一〇〇人を超す生徒も、三年間継続しての通学は容易でなく、卒業時はわずか三〇人程度。まさに、「継続は力」なのである。

もう一つは、J・ネイスビッツの言葉で、「グ口ーバルに考え、ローカルに行動せよ」。豊の国づくり塾の活動は、市町村独自の塾の結成を誘発した。これまで二二塾。八八七人。市町村が主催しているものもあれば、若者たちが独自に開いている塾もある。

地域をおこすのは、東京からの知恵ではだめだ。あくまでも地域の特性に根ざした地方からの発想で、しかもグローバルな評価に耐えられるものでなければならない。一村一品運動の精神と同じである。自分たちの工夫でやっていく自主性を大切にしたい。「グローバルに考え、ローカルに行動せよ」である。

その豊の国づくり塾は、市町村塾の卒塾生も含めて、平成元年八月に「こすもすコース」(六〇人、一年間)を開設した。「こすもす」とは宇宙のこと。それぞれの地域が宇宙の中心となって、国内はもとより、世界各国との交流を広げ、ローカルにしてグローバルな地域を築くことを志している。
 
私の好きなこの『若者たち』の歌は、「塾歌」でもある。塾生を囲んで、夜を徹しての地域づくり論議。麦焼酎を片手に口角泡を飛ばす。最後に決まってこの歌が出る。地域で黙々と精進する若者たち。その行く道は険しく、かつ遠い。しかし、必ず未来は開けるものである。この歌は私たちに勇気を与えてくれる。地域を思う人がいる限り、過疎は怖くない。そういう人を育てたいと思っている。「人づくり」こそ、一村一品運動の究極の目標である。