2015年12月1日火曜日

より深刻なのは大阪便

地方空港は今、国際線や国内基幹路線を多数抱える大都市の空港とは違い、利用客の増減によってその環境が目まぐるしく移り変わっている。松山空港でもこれまで「ドル箱路線」と呼び続けられてきた東京便が年明け以降、景気悪化に伴ってビジネス客の利用が減少。一方、ウォン安により国際線のソウル便は80%以上の搭乗率を記録している。4月から大手航空各社が大幅減便などを決めているなか、地方交通の現状を松山空港から探ってみた。

航空機の機種などによって差異はあるが、搭乗率の採算ラインとされるのは一般的に60~65%とされている。年間約150万人が利用する東京便。搭乗率は昨年11月までは70%を超えていたが、顕在化した景気の落ち込みの影響から、12月、1月と連続して一気に60%を割り込んだ。愛媛県庁に事務局を置く松山空港利用促進協議会は「不況の影響で企業が出張を手控えたことが大きく影響している」と分析している。

高速交通機関との競合がないこともあり、日本航空は昨年11月に実施した1日5便の増便を4月以降も継続することを決めているが、より深刻なのは大阪便だ。

とりわけ関西空港は大阪南部という不便さなどから、航空各社が相次いで同空港発着の各路線の減便や廃止を決定しているが、松山空港から1日6便(3往復)を運航する全日空の減便の判断の行方も注目されている。一方、伊丹便は2月の機材変更もあり、日本エアコミューターを含めた搭乗率は70%弱まで回復したものの、月間の搭乗者数は1万人近い落ち込みをみせている。