2014年7月1日火曜日

金銭の信託と種類

①から⑥の財産以外のものは信託会社では扱えないわけですが、信託法上は著作権、特許権、鉱業権、漁業権などの無体財産の信託もできます。信託業法がこうした財産の引き受けを制限したのは、信託会社が投機的な事業をしたり危険な財産を引き受けて経営の基礎を危くするのを防ぎ、受益者の保護をはかる趣旨から出たものですが、今日の信託会社の充実ぶりと、社会的役割の高まりを考えると、制限の緩和が望まれます。

そのほかに、特殊な信託として、零細農地などの生産能率を高めることを目的とした農業協同組合法による農地等の信託と森林組合法の森林の信託があります。なお、営業信託の一つですが信託業法とは別の法律(担保付社債信託法)によって認められているものとして担保付社債の信託があります。

初めに引き受けたときの信託財産がおカネであるものを金銭の信託といいます。このうち信託終了のときに元本をおカネで受益者に交付するものを金銭信託、そのときに運用している財産をそのまま交付するものを金銭信託以外の金銭の信託といいます。金銭の信託によって引き受けられたおカネは、あらかじめ信託契約で定められた方法によって運用されます。

受益者が契約通りに運用したものの、元本に損失が出たり、収益が予想していたようにあがらないということもあり得まナ。これを信託の実績配当の原則といい、受託者が誠実忠実に管理運用に当たっているかぎり受託者に責任はありません。この点、銀行の預金のようにあらかじめ利息を約定して、銀行の損得に関係なく元金と利子を預金者に支払うのとは全く異なります。

もっとも、一般の人々が普通に利用する金銭信託や貸付信託などは、信託会社が元本を保証する特約をつけることが認められていますし、その他の信託についても、専門家である信託会社が引き受けるのですから、法律論は別として、実際にはまず心配はないと考えられます。この金銭の信託はその運用の仕方や目的などにより、いろいろな信託型金融商品として取り扱われており、わが国における信託財産の九割以上を占め、それぞれの金額は、現状、膨大です。